山坂が多く、傾斜地や狭小地も珍しくないこの風土にあって、最近の建築住宅は収納計画に気を配られる傾向にあります。
建築時の平面スペースには限りがありますので、持ち合わせている家具等はさほど念頭に入れず、今後必要とする物を対称に、しまう収納方法を比較選択されます。小屋根、床下、デッドスペース、物置きを上手に利用します。さらに、住空間を狭めず出来ることは、吊り棚、階段下収納、壁の厚みを利用する、飾り棚や文庫棚等、なるべく家具を置かずにと考えられることは少なくありません。
コレは収納計画というより、お施主様自体が今までの暮らしの中で否応なく考えさせられていた、答えのひとつひとつの集約でもある訳です。
ココで気をつけたいのは収納スペースばかりを単に多めに造作するのではなく、使用頻度を考慮した配分を適材適所に設けること。室内をすっきり整理させると共に、合理性を優先する暮らしやすさが第一の目的ともいえます。
たとえば高速道路を百万馬力で走る自動車は、実に1500人分のエネルギーを使う事になる。現代の生活様式を昔にたとえて総括すると、ひとつの家庭で約500人分の働き手を持つに等しいといいます。
さらに、現在の一年間は、文明の発達、文化の発展のスピードを徳川時代に比較してみると、30年分に値し、人生50年といわれてきた寿命が、80年となり、同時代に換算すると、2400年間も生き長らえれいる事になるそうです。
今の私たちは貴重な遺産の中で膨大な年月を暮らしていることになります。先人たちの残した努力の結晶はいたるとこに反映し、人々は様々な分野でのライフスタイルが可能になり、夢のある住宅も愉しめるようになりました。単に建材や設備の集合体で終わるものではありません。
時代の恩恵に感謝しながら、時にはそういった視点に成り立つ幸福感で暮らしを味わうのも、大切な事でしょう。



